Cherryキーキャップの金型と歴史

2026-02-10
keycapscheeryog

**この記事は情報に誤りがある可能性が非常に高いです。 誤りを見つけた場合は、一定数精度の高いソースとともにご連絡いただけますと幸いです。 **

**また、それと同時に、ドイツ語への理解も浅いため、文献の引用元や意味について誤りがある場合もご連絡いただけますと幸いです **

https://x.com/takashio1019/status/2021212363773383068?s=20

天キー vol. 10でESA3000-HASROを見てしまい、とても欲しくなってしまった。

それはそれとして、自分の持ってるOGに対する知識って正しいんだっけという疑問が生まれたところもあったので、更新することにした。

前提知識

前提となる知識が結構あるので注意してください。

Cherry Corporation

現Cherry AG
Walter Lorain Cherryによって1953年にアメリカ イリノイ州で設立
そのドイツのBayreuth(バトロイト)、Auerbach(アウエルバッハ)に製造拠点を移した

Cherry社の製造哲学

前提として、Cherry社の製造していたキーボード、及び周辺ハードウェアは、高耐久で産業用市場を主としていた

G80シリーズ

1983年にMXスイッチが開発(発表?)され、1988年にG80-3000シリーズが登場

細かい歴史はあとで

G81シリーズ

G80のコストカット版
G80との最大の違いはCherry MXスイッチではなく、Cherry MYスイッチが使用されていること

Cherryプロファイル

現代においてもっとも普及していると言っても過言ではないキーキャップのプロファイル
OEMプロファイルよりも低く、前述のG80シリーズはこれが前提として搭載されている

現代でこそホーミング(ニップルやバー)が多いものの、G80は前提としてDeep Dishという、ホームポジションのキーだけが深く湾曲したものが採用される

OG

originalのこと

OG Doubleshot

ABS製のdoubleshot(ニ色成形)で、Cherry社の代表的なキーキャップの1つ。
OEMを除く、Cherry G80シリーズの中で型番にHが含まれるモデル
G80-3000HAUやHADがそれらにあたる

Hは、ドイツ語で”高圧射出成形”を意味するHochdruckspritzgussから来ている(らしい)

現代におけるGMKの祖先(後述する)

有名なOG Doubleshot

Dolch

G80-1813などによく見られる、チャコールグレーを基調として黒のModキー、白のレジェンドという、もは言わずとも知られたカラースキーム
元々はポータブルPCメーカーであった、Dolch Computer Systemsのために製造された。

とても驚くことに、日本語のブログでこのG80-1813の分解ログを残している方がいらっしゃるので、ぜひ見ていただきたい。

https://mousefan.telcontar.net/image/G80-1813.htm

Skidata

オーストリアのGredich(グレーディヒ)に本社がある、アクセス管理システム企業のSkidataの他に製造されたキーボード群…についていたキーキャップ
いわゆるOG Skidata
オレンジ色のmod、レジェンドと黒とも思えるぐらいに暗いグレーのベース
要はSkidata color schemeで、とても有名 ちなみにDolchの配色をいじっただけなこともあるのか、Skidata Dolchみたいに呼ばれることもある

調べ方が悪いのかあまり写真が出てこない…

https://geekhack.org/index.php?topic=39106.0 https://geekhack.org/index.php?topic=85661.0

勘違いしないで欲しいこと

Dolchほどボードまで特注(Dolchはちゃんと別途ロゴが入ってる)していたりしたわけではない…ので、SkidataカラーとSkidataのキーボードそのものは結構違う。
そのため、最新のSkidataは以下のようなキーボードだったりする。基本的にないだろうけど、Skidataで話が食い違う可能性があるので注意して欲しい。 https://www.reddit.com/r/MechanicalKeyboards/comments/76trwz/old_and_new_keyboard_from_skidata/

https://imgur.com/Iaxp4An https://imgur.com/a/eZ8Ag/

お、Skidata自体は今はASSA ABLOYに売却されているが、残っている
https://skidata.com

WoB/BoW

言わずと知られた(

White on Black / Black on White
実のところあまり年代的に見当たらない。
また、G80ではなく、G81見かけることが多い。

Reuters(ロイター)

金融/通信社として有名なロイターもCherryの顧客の1つ。
その中でももっとも知られたカラースキームとして、9009が挙げられる。

元になったキーボードはG80-9009HAUで、9009カラースキームと言って、頭に浮かんだそのものの組み合わせが出てくる。
基本的なベージュに加えて、グレーみがかったパステルグリーンとパステルピンクのMODキーが特徴。

そしてCherryからGMKへ…

2010年初頭、キーボード自体の薄型化のトレンドや、環境規制、そしてコスト削減のためにABS DSの自社製造を停止した。
代わりにどうなったかというと、PBTレーザー刻印などの安価な製造方法をメインにすることになった。

実際直近で販売されていたG80シリーズや、2000年台後期になるとかなりチープなものになる。

譲渡の経緯

Cherry社からDoubleshotの金型は廃棄されることなく、売却によって譲渡されることになった。

譲渡先については皆様ご存知、ドイツのGMK electronic design GmbHである。
そう。酔狂な人たちがGMKをGenuine Cherry Profile(本物のCherryプロファイル)というのはここにある。

コミュニティの情報をそのまま受け取るなら、現GMK CEOであるChristophの父親に対して売却されたされている。 https://geekhack.org/index.php?topic=101249.0

時期は不明だが、おそらく2010〜11年頃だと考えられる。
そのため、結構長い間Cherryは自社で製造していたことになる。

OG Dyesub

最強。
そして、貴重。

ABS DSと並んで、OGで語られることが多いのがPBT昇華印刷によって作られたG80シリーズ、あるいはそのOEMのキーボードに付随するキーキャップ。

G80-3000SAVやSAUといった、型番にSが含まれるモデル。

昇華印刷を意味するSublimationsdruckから取っていると思われる。

GMKとは違い、現代では金型が失われてしまっている。

ABSよりも硬度が高く、熱や変形、また紫外線による黄変(Yellowing)も理論上は発生しない。
また、耐摩性に強く、ABS違ってテカりがほとんど起こらない。

PBTはその性質上冷却時の収縮率が高い。
それが原因で現代のほとんどのPBT製のキーキャップ…その中でもとくに肉厚で長尺なスペースバーは反り(warping)が発生しやすく、それが原因でrattleが発生する。

OG Dyesubはこの反りや歪みがほとんど存在しないことから、高いクオリティであることが伺える。

有名なOG Dyesub

NCR

DyesubといえばのNCR
NCRも企業名で、NCR Corporation(National Cash Register)のCherry OEMである。
OG系の中ではあまり人気がない印象だが、NCRをもとにしたボードがよく出回っている(NCR80?)ことから合わせたいという人をチラホラ見かける。
G81-3077(と3007?)でよく出回っている。

G80シリーズは多分ない?

デフォルトのCherryのベージュとは違い、Industrial Greyと呼ばれる寒色系のグレー。
alphaは明るめのグレーで、modもグレー。
さらには、レジェンドも実は黒ではなく、黒に近いグレーだったりする。

そしてこのキーボードについても日本語でのレビューが存在しているので是非読んでみてほしい。

http://hw001.spaaqs.ne.jp/kaineko2/album20120630.html

Peacock

売ってください。買います。

Peacock Computer GmbHというドイツのPCメーカー向けに製造されたキーボードのキーキャップ。
Holy Grail(聖杯)の1つ。

https://m.blog.naver.com/PostView.naver?blogId=dyraos&logNo=220198673962&proxyReferer=https:%2F%2Fwww.google.com%2F&trackingCode=external

Peacockには、

G81-3000 SATについては正確にはPeacockではなくて、チェコの凡例の1つなのだが、基本的なキーキャップのデザインなどはすべて3004 SATと同じ。(一部違う)

https://deskthority.net/viewtopic.php?t=10138

SATの最後のTはドイツ語でチェコ(語)を意味するtschechisch(なはず)

https://www.kbdmania.net/reboot/review/3099079 https://www.kbdarchive.org/otd_archive/album_post.php?post_id=179559 https://m.blog.naver.com/dyraos/220198673962

ぜかGt81-3000 SATのパッケージにはIBMのロゴが入っている。
Cherryの標準だと思うのだが、どこ需要だったんだろう。

何が凄いのか?

とにかく側面のサブレジェンド。
当時の技術力の高さなのか、コストのかけかたなのかなんなのかは分からないが、とにかくこれが凄い。

美しい濃いめの青色の側面の昇華印刷が最高。

個人的には特徴的な数字行のレジェンドも好きで、記号の情報量がとても多いのも好き。

天キーに持ってきてくれたら、ぜひ持ち帰らさせていただきます。(嘘、見せてくれるだけでもお金払える)

Cyrillic

SAVとして有名なCyrillic。
赤いキリル文字のサブレジェンドが書かれたOG Dyesub。
個人的にはもっともデザインのバランスが取れていると感じるキーキャップ。

https://m.avito.ru/omsk/tovary_dlya_kompyutera/novaya_klaviatura_cherry_g81-3000_saw_rus-eng_1029461561

これもSATと同じでいくつか似ているが別の型番になっているものがある。

G81-3000 SAV

記憶が定かではないが、キリル文字がシルクスクリーン…らしい…
Cherry社が無刻印のPBT Blankを持ち込んで、ロシア現地で印刷したものじゃないのかとか言われてる。

あと、キリル文字オンリーで、赤いサブレジェンドがない。
SAVとしてはOGではないものの扱いになるが、G81-3100 SAVよりも現物の写真が見つからない。
写真は当時のeBayで出品されていたものから見ることができる。

https://www.ebay.com.my/itm/NIB-CHERRY-KEYBOARD-G81-3000-SAV-RUS-Cyrillic-ENG/173087249145?ssPageName=STRK%3AMEBIDX%3AIT&_trksid=p2055119.m1438.l2649

https://m.avito.ru/omsk/tovary_dlya_kompyutera/novaya_klaviatura_cherry_g81-3000_saw_rus-eng_1029461561

G81-3100 SAV

OGの1つ
ESA-3000 HASROとほとんど同じ

ANSIのレジェンドに、赤いキリル文字のサブレジェンド
カッコいい
欲しい。

ESA-3000 HASRO

現物を見れたことに感謝…

基本的にはG81-3100 SAVと同じだと考えてよい。

蛇足な

ESA-3000 HASRO(の所有権)はCherry社のものなのかそうでないのか結構分からないらしい。

そもそもESAがなんなのかという話をすると、Elektroschaltgeräte Auerbachで、東ドイツにあったコンピューターメーカー
Robotronという名のほうが知られているかもしれない。

前提として、1989~91年のドイツは、ドイツ再統一があった年で、かなり色々とカオスな状態という背景がある。

Cherryは西側、ESAは東側で、それぞれ同じ地名であるアウエルバッハを偶然にも本拠地としていた。
それを利用したのか、活用したのかは分からないが、ESAがライセンス生産していたとか、Cherryを模倣したとか色々な噂がある。

個人的にはわざわざそこまでして同じ工場でもないとできないようなものを模倣してまで作る理由も薄いので、ESAがライセンス生産してたんじゃないかと思っている。

まぁ1990年に消滅してるので、死人に口なし。

Auerbach/OpfがCherry産、Auerbach/VがESA産だそう。

https://deskthority.net/viewtopic.php?t=4640&start=30

This is my own theory, but pretty truthlike. ESA is Elektroschaltgerate Auerbach, also known as Robotron, a company which made computers in the communist East Germany (DDR). It appears that they licensed, or outright copied, the keyboard from the West German Cherry Corp, around 1990-91 when things started happening in the communist camp. By a very amusing coincidence, the Robotron factory and Cherry Corp had their headquarters in cities with the same name (Auerbach), but in different Lands, and their keyboards are so marked: Auerbach/Opf is Cherry, Auerbach/V is Robotron.

G80-3000 SEARB

G81-3100 SAV / ESA-3000 HASROとも違う。
現物のレビューはここくらいしかない。

写真を追いかけると分かるが、チルダ/バッククォートのキリルサブレジェに違いがある。

https://deskthority.net/viewtopic.php?t=25669

BSP、そして終わり

OG DoubleshotはGMKが継承した。

ではOG Dyesubは?

BSPについて

BSP(現Logickeyboard)はCherryからOG Dyesubの金型を買い取ったとされている企業

OG Dyesubの行方

BSPは当時、Desko社向けのキーボードのキーキャップを作っており、これがOG Dyesubに酷似していたため、金型がBSPに買い取られたのではないかと噂されていた。

が、phonekq(ここまでの内容を色々調べると、どこでも見かける人)や、コミュニティの情報を参照すると、“BSPに渡った”とされいる情報のほうが圧倒的に少ない。

https://geekhack.org/index.php?topic=101249.0
(とりあえず、ここのスレッドをすべて読もう)

なぜそのような判断になったかというと、

と、まぁこれらの情報と、そもそも真偽が定かではないというところで、そもそもBSPに渡ったわけではなく、ロストしたんじゃないかという説が強い

BSPのPBT blank製造終了

BSP自体も2018年を最後にキーキャップの製造をやめている。

(それまではlmsto.cnでGBをよくやっていた)
https://geekhack.org/index.php?topic=57244.0

(Dropでも取り扱いがあった)
https://drop.com/buy/imsto-pbt-keycaps-with-hangul

個人的な予想

前々から言ってるけど、やっぱり早い段階でロストしたんじゃないかと思っている。

2010~2013年あたりはAlpsがほぼ末期だったりと、キーボード的に一番しんどい時代という背景が強い

終わりに

雑に急いで書き上げたので、かなり読みづらい + これ纏めて記事が2021年とかで放置されてたのもあり、Deskthority wikiが逝ってるのが辛い。

纏めてにはなりますが、今回の記事は様々な箇所から引用させていただいております。

そのため下記に記載させていただきます。
以下略称にて失礼します。

また、必要な引用箇所には個別にURLを貼っています。

  1. About CHERRY | The CHERRY company
  2. Cherry turn 60! - KitGuru
  3. Cherry G80-0778 - Deskthority
  4. Cherry G80-3000 HOG - Deskthority
  5. Cherry G80-1300 (but not really) Yugoslavian Layout (These Images Will Shock You!)
  6. The History of Cherry Keyboards - Das Keyboard Mechanical Keyboard Blog
  7. DyeSub PBT VS DoubleShot ABS - Geekhack
  8. Cherry Profile Dye-subbed Keycaps Comparison - deskthority
  9. r/MechanicalKeyboards Wiki: Cherry Keyboard Product Codes Guide - Reddit
  10. Double Shot Keycaps: A Professional Guide to Mechanical Keyboard Essentials
  11. Cherry Corp MX Keycap History - deskthority
  12. ABS feels a ton better than PBT - Geekhack
  13. Anyone have experience with OG Cherry Doubleshot keycaps? : r/MechanicalKeyboards - Reddit
  14. Cherry Profile PBT Dolch Keycaps | Flashquark Mechanical Keyboard Store
  15. Dolch Keycaps - Mechanical Keyboards
  16. https://www.keebtalk.com/sitemap_1.xml
  17. NIB Cherry G80-2100HBU - deskthority
  18. [photos] GMK Skidata Dolch : r/MechanicalKeyboards - Reddit
  19. [GB] GMK 9009 R3 - Geekhack
  20. My daily driver: Cherry G80-9009HAU (Swiches: Cherry MX Clear) : r/MechanicalKeyboards
  21. How did Cherry-based switches come to dominate the mechanical keyboard market? : r/MechanicalKeyboards - Reddit
  22. OG Cherry Tooling - Geekhack
  23. Blog - GMK Keycap
  24. NCR G81-3077SAU - deskthority
  25. r/MechanicalKeyboards Wiki: The Ultimate Keycap Guide - Reddit
  26. JKDK Dessert Keycap Set Cherry Profile PBT Dye-Subbed - LumeKeebs
  27. PBT keycaps with Cherry profile - Geekhack
  28. Cherry G81-3077 SAU - a custom build - Geekhack
  29. Cherry G81-3077 SAU (NCR) - Deskthority
  30. Cherry G81-3000SAT - Deskthority
  31. Cherry G80-3000SEARB - Deskthority
  32. Questions about “Cherry” profile and other keycap manufacturers - Reddit
  33. List of Cherry-profile keycap sets - KeebTalk
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